
- 【上巻】うわまき
- 軸裏の上部になり、巻いた時にその部分が外に出ます。軸を保護すると共に、紐(巻緒)ずれを防ぎます。 通常は浅黄色ですが濃紺や茶もあり、仏表具では紺が決まりとなっています。
- 【一文字】いちもんじ
- 一という字に形が似ているので、一文字と呼びます。
各宗派の本尊、祖(そ)、尊号などの仏事に使用する掛軸は、厳かに飾る為、金糸をふんだんに織り込んだ金襴(きんらん)という裂地(きじ)を使います。
山水画、花鳥風月などの季節の掛軸、趣味の掛軸は、本紙を引き立てる為、作品の上下に細かく金襴を残すだけの形になります。(金襴・銀襴・漆箔・竹屋町・飛金・等) - 【岩絵具】いわえのぐ
- 日本画材料として用いられる顔料で、孔雀石、辰砂、藍銅鉱など様々な鉱石、半貴石を砕いて作ったものです。
- 【鐶】かん
- 掛緒を留める金具です。大きさも大・中・小があり、形も木瓜(ぼけ)や玉子座、菱、色も黒、赤銅、金等があります。
- 【絹本】けんぽん
- 絹(シルク)のことです。
蚕の繭(まゆ)から取った天然の繊維で作られた織物のことで、絵絹とも呼ばれ、ドーサ引きをしてから使用します。 - 【顔彩】がんさい
- 顔料に固着材を混ぜ、固形にしたものです。簡易的に使用できる為、旅行先で絵を描く方や、絵手紙などによく使われています。
- 【胡粉】ごふん
- 伝統的な白色の顔料で、日本画を描く際の重要な顔料として使われています。原料は貝殻に由来しています。
- 【軸棒】じくぼう
- 直径8分~1寸の丸木材を使い、地の下部になります。掛けた際には重りに、巻く際には巻き取る芯の役目をします。
大物には、9分、1寸、小軸や茶掛は8分を使います。 - 【軸先】じくさき
- 掛軸を巻く時に手に持つ部分で、装飾としても重要な部分です。金属・紫檀・黒檀・竹・木・塗り・陶器・象牙・象牙代用の物等の材質の物と、白や黒、赤といった色、頭切りやばち、変形の物など様々な種類があります。
- 【軸助】じくたすけ
- 大きな負担の掛かる部分である軸端の痛みを防ぎます。
- 【筋】すじ<沈め・魚子>
- 斜子(七々子・魚子)という薄物の裂地を本紙の廻り、中縁の廻りに使います。
- 【シルクスクリーン印刷】
- シルク(現在ではナイロン・テトロン等)のメッシュを枠に張った版を用いる印刷技術です。主に繊維への印刷等で使用される印刷方法です。
- 【中縁】ちゅうべり<中廻し/中上・中下>
- 通常は作品の廻りを取り巻く柄の裂地を用います。(本緞子(ほんどんす)・遠州緞子(えんしゅうどんす)・朱珍(しゅちん)・上紡(じょうぼう)・等)
仏表具では金襴、大和仕立では緞子、二段表具では無地の裂地を用いたりします。
一文字がメリハリを与える部分とすると、中縁は作品全体を際立たせる部分となりますので、考慮して柄や色を決めます。(金襴・銀襴・漆箔・竹屋町・飛金・等) - 【礬砂】ドーサ
- 膠(にかわ)を溶かした液です。
- 【膠】にかわ
- 動物の皮や骨を原料とし、煮溶かして作ったものです。
- 【八双】はっそう<半月>
- 半月状の木材で、天の上部に付きます。
軸木とペアになりますので、太さは軸木に合わせます。 - 【紐】ひも<掛緒(かけお)と巻緒(まきお)>
- 掛緒は掛軸を掛ける時に用い、巻緒は掛軸を巻いた際、結ぶ為の紐になります。
三色の平紐を啄木ともいい、無地の紐には紺や茶等がありますが、仏表具では紺を用います。
巾も大中小があります。 - 【風鎮】ふうちん
- 掛軸を掛ける際に軸先部分へ掛け装飾品として使われています。
- 【仏仕立て[真の草]】ぶつじたて
- 本紙を中心として、内綾→一文字→外綾→天・地・柱の作りとなる仕立て方です。(図を見る)
- 【仏仕立て・一文字廻し】ぶつじたて・いちもんじまわし
- 本紙を中心として、一文字→天・地。柱の作りとなる仕立て方です。(図を見る)
- 【風帯】ふうたい<垂れ風帯・貼り風帯・筋割り風帯>
- 掛軸の八双の部分から垂れ下がる、2本の裂地の事です。
通常は一文字と同じ裂地を用い、中廻しと同じ裂地を使う場合もあります。
寸法は天と同寸、幅は掛軸の25分の1が決まりで、先端には「露」と呼ばれる小さな絹の房がつきます。 - 【本紙】ほんし
- 作品の部分<墨蹟・絵など>を本紙と呼びます。和紙の場合は紙本(しほん)、絵絹の場合は絹本(けんぽん)となります。
- 【本仏仕立て[真の行]】ほんぶつじたて[真の行]
- 本紙を中心として、内一文字→内綾→外一文字→外綾→天・地・柱の作りとなる仕立て方です。(図を見る)
- 【丸表装】まるびょうそう(二段表装:にだんびょうそう)
- 本紙を中心として、一文字→天・地・柱の作りとなる仕立て方です。(図を見る)
- 【面相筆】めんそうふで
- 日本画・水墨画用の小筆です。細い線を描く際に使用します。
- 【矢筈】やはず
- 掛軸を掛ける・しまう際に使われる道具です。
- 【大和表具】やまとひょうぐ
- 中国から伝わった文人表具と異なり、日本独自で確立された表具の形式が大和表具です。
形式は真・行・草の三体で区別されており、それぞれ用いられる用途も異なります。